ストレスが最高潮に達したクレーム対応の話

”それ”はある日突然やってきた。。。

(※画像はイメージです。)

あの日のことは、コールセンターを離れた今でも決して忘れることはありません。。

それくらい、自分にとっては衝撃的な、記憶に残る出来事でした。

まったく、、『なんというタイミングで電話をかけてくるのか〜❗️』

思わずそう叫びたくなるくらい、絶妙な、まるで狙いすましたかのようなタイミングだったのですよ。

私がまだSVになりたての頃で、同じ部署の先輩SVは一人しかおらず、

しかもその先輩女性SVはたまたまその日に所要がありお休みだったのです。。

確かその日はマネージャーも仕事の都合で不在だったのです。

シンはこんな人

本業は会社員の40代ブロガー。
2019年から通算3年ほどコールセンターでの勤務を経験。
2年ほどオペレーターを務めた後、1年間SV(スーパーバイザー)として勤務。チームワーク構築に向けて改善案を提示しつつ、英語を駆使して外資系クライアントとの折衝に奮闘。

その部署においては私なんかより知識もスキルも豊富なベテランオペレーターの皆さんがいらしたので、

『何かあれば助け合いながらうまくやってください』などと、

そんな気持ちで先輩SVも私に託したのでしょうが、

そんな日に限ってやってきたのです!

面倒なクレーマーからの電話が‼️

(※正確には”クレーマー”というほど理不尽な申し立てではありませんでしたが、、

その時に私が受けた印象は”クレーマー”というイメージでしかありませんでした。。)

少し神妙な面持ちで私に救いを求めてきたベテランオペレーターの方は、

『シンさん、結構なお怒りようで、、話の分かる責任者に代われとおっしゃってます、、』

もちろん相手に聞こえないよう、こちらの音声をミュートにし、、、

ふだんはチーム内のコミュニケーションにも長けた好青年のオペレーターがそう訴えてきたのです。。

(完全に退路を断たれた、、)

オペレーターからの訴えを耳にした私が最初に聞いた、自身の心の声でした。。

先述したように、その日は現場にマネージャーも、いつも頼りにしている先輩SVもいません。

その時点での責任者といえば、自分だけ。

SVになったばかりで、ろくにクレーム対応経験も積んでない自分にとって、まさに“修羅場"が訪れました。。

腹を括って自分のデスクにあるヘッドセットを取り、

『分かりました。こちらにつないでください。』と、

極めて冷静に努めながらベテランオペレーターにそう伝えました。

『お客様、たいへんお待たせいたしました。私、○○が代わってご用件を承ります。』

「あのね、一体オタクの会社はどうなってるんですか〜!」

ヘッドセット越しに聞こえてくるその声は、少し高めの、初老の女性と思われるものでした。

当時、私が配属されていた部署は外資系の自動車を取扱う会社をクライアントとしており、

主に車内の通話・通信(いわゆる"コネクテッドドライブ")サービスに関する操作案内や不具合対応をメインで受け付けていました。

なんでもその女性いわく、、

息子が車を購入したが、しばらくアメリカに仕事で出張していて、半年ほど日本を不在にしていると。

それなのに、、、つまりは購入した高級車をまったく乗ってもいないのに、

オプションとして付加されたスマホアプリによるリモートサービスに毎月3万円も請求されているのが納得いかない、とかとか。。

月に3万円なんて、私のような庶民の感覚からすればあり得ないくらい高額ですが、

その外資系自動車はモデルによっては1,000万くらいするのもありますし、

お客様は比較的"小金持ち"が多いんですよね。。

それでも、「使ってもいないのに3万円も支払うのは納得いかない」というのが、

そのお母様のご主張でした。

『失礼ですが、お母様は息子さまの代わりにお車をご利用されることはないのでしょうか?

、、我ながら思い切った質問だったと今でも感じますが、、そこは"火に油"ではなかったようで、

「私は乗らないし、そもそもそんなサービス使わないんですよ!コレ、解約できますよね?」

と、強気にご発言。

『お客様、あいにくではございますが、、当社のサービス約款上、解約するにはご契約いただいた息子様本人のご同意が必要になりまして、、』

「いやいや、○○さんでしたっけ?大体、購入時点で契約した息子は日本にいなかったんですよ!全然使ってもないんだから、解約できないってのはおかしいと思いませんか?」

まあ、主張されていることは間違いではない、

と心の中では私も同じように感じていただけに、ひじょうに心苦しかったのを覚えています。。

(※画像はイメージです。)

『承知いたしました。一度、この件は社内にて検討させていただき、、』

「検討もなにも、解約にしてくださればそれでいいんですよ!いつまでに返答してもらえるの!?」

こちらが苦し紛れに放った言葉はお母様の苛立ちを募らせたらしく、、

ここまでくると、もはや何を言ってもお気持ちをなだめることはできないと察し、

『本日中、できるだけ速やかに返答させていただきます!』と、なんとかそれで納得していただき、一度切電。

ヘッドセットを置いた自分の表情は、

ベテランオペレーターが慰めのような顔つきをしていたことで分かりました。

かなり生気を吸い取られたような表情だったのでしょう。。

しかし、ゆっくりしている暇はありませんでした。

その日のうちにお客様に納得のいく回答をしなければ。。

クライアントに状況説明し、指示を仰ぐ

マネージャーも先輩SVも不在だったその日、

私が頼れるのはもはやクライアントしかいませんでした。

ふだんは週一回のWebミーティングでしか話さず、

割と物言いがキツめで、どちらかというと苦手なタイプの女性の方だったのですが、

尋常じゃないストレスを抱えていたその時の私にとって、

この窮地を救ってくれるのはクライアントしかいませんでした。

本来であれば、お客様からの問い合わせを一手に引き受けてクライアントの業務に資するのがコールセンターの役割ではありますが、、こういった場合はむしろ、クライアントからの信頼を損ねないためにも正直にあるがままを伝え、指示を仰ぐのが賢明、、。

すがる先がそこしかなかったというのもありますが、我ながら賢い選択だったと思います。

そう、これまでに想定していなかったような問い合わせには、

適切な指示を仰ぎ、素直にクライアント側の意向に沿うようにしなければなりません。

コールセンター側で勝手に判断・回答し、

その外資系自動車会社の世間に対するイメージを損ねてしまうのは、

すなわち、クライアントからの我々に対する信用を落としてしまうのと同じです。

私は受けた問い合わせの内容を事細かにクライアントに説明し、

結局、“例外的な処置"として、該当サービスの解約を認めることになりました。

その時の心境としては、ひとまずホッとした、救われたというのが正直なところでした。

本来であれば、クライアントからの評価を高めるため、

もう少し自分なりの回答の仕方をウソでも提案すべきだったかもしれません。

ですが、その時の正直な気持ちとしては、、

一刻も早く、お客様に返答し、ストレスの元となるこの案件から解放されたい、というのが本音でした。

自分自身を擁護するようでみっともないですが、、

このようなクレーム内容を受けたのは初めてということもあり、

なかなか冷静に対処できなかったのと、ストレス耐性が十分ではありませんでした。

(※画像はイメージです。)

さっそくお客様に折り返しの電話を差し上げたところ、

「まあ、それで当然ですよね。最初からそう対応してくだされば良かったんですよ。はい、それであれば結構です。解約お願いしますね。」

と、まあ当然といえば当然な、最初に電話をかけてきた時の熱量はだいぶ下がっていました。。

得られた教訓も大きかった。。

(※画像はイメージです。)

できることなら、こういったストレスが尋常じゃない苦情電話は受けたくないものですが、、

受けてしまったからには全力で対処せねばならず、結果として良き教訓となりました

幸い、この時以上にストレスがかかる電話に応対したことはありません。

そういう意味では、この時のことを思えば、

多少のクレーム電話があったとしてもなんとか耐えられそうな気がしていました。

実際、『あの時はもっとこういう話し方、伝え方をしておけば良かったかも。。』などと、

振り返る余裕までできて、少しコミュニケーション力が成長した感がありました

そしてその日以降は、受電(インバウンドコール)だけでなく、

架電(アウトバウンドコール)も積極的に実施するようになりました。

というのも、当時はコネクテッドドライブやスマホアプリなどの不具合について、

英文メールで本国に問い合わせることをしていたため、

不具合の内情については自分が最も詳しくなっていたからです。

『現在発生している技術的なトラブルについては自分しか回答できる人間がいない。』

そういう自負心のようなものが芽生えていました。

“自分だったら納得のいく回答ができるはず"

そういう自信のようなものがついていました。

一度、ストレス度がハンパないクレーム案件を経験したため、

多少のことでは動じないメンタルが身についていたように思います。 

もうあのような案件は正直受けたくありませんが、

結果として業務に対する自信を深めることができた、貴重な経験でした。

本来であれば、オペレーターを何年も経験してお客様への対応にこなれてからSVが務まるようになるのでしょうが、私の場合は特別な事情もあり、ろくにクレーム対応などをオペレーター時代に経験しないままSVになっていました。

そのために対応がお粗末になってしまいました。

このように、SVというのはいざという時に責任が生じ、

チームメンバーから頼られる存在でなくてはなりません。

その分、給与などもオペレーターに比べれば上がりますが、

私はそれ以上にやりがいがあると思っています。

今回紹介した案件のような、貴重な経験ができるのもそうです。

『そんなの、できることなら経験したくない』

そうおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、社会人でいる限り、常に楽な道ばかりとは限りません。

時にはこれ以上に悲惨な目に遭う可能性だってあり得ます。

でもそこでめげることなく、学びに変えていく。

そのような姿勢で仕事に望むことができれば、少しくらいのことでは動じなくなり、

コミュニケーション力はもちろん、問題解決能力まで身につきます。

今回、紹介した内容はコールセンターに限らず、他の業界でも共通するところがあるかと思います。

少しでも参考にしていただければ幸いです🙇‍♂️

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